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地紋(じもん)

染織の技法において、一般に二つの対立する模様が織物に置かれるとき、下の柄(がら)、つまり地に置かれる柄を地紋といい、これに対して上の柄を上紋(うわもん)という。技法のうえから次の2類に分けることができる。

(1)紋織物を製織するときに、絵緯(えぬき)を使わずに経糸(たていと)と地緯糸(じぬきいと)だけにより斜文、朱坊主(しゅす)組織に織って模様を表したもの。多くは小柄の模様を地紋という。

(2)前記の(1)のような紋織物を染色加工して模様を表し、染め模様と織り模様が対比されるとき、紋織物の模様を地紋という。つまり(1)(2)は用語上の区別だけで、両者は因果関係にある。

模様からみると、一般に織物の地には模様の細かい格坊主、石畳(霰(あられ))、縞(しま)、沙綾(さや)形、青海波(せいがいは)、立涌(たてわく)、亀甲(きっこう)、網代(あじろ)などの主として幾何学的模様を置き、これに対して上紋には地紋よりも大形の丸紋、菱(ひし)、楕円(だえん)文などの幾何学的文様や便化飾り化した動植物文を、互(ぐ)の目、普通列や散らして配し、対比の効果をあげる手立てがとられる。また織物に染色加工を施したものは、染め模様の間から地の織り模様が光線のコンディションによって浮かび上がり、深みのある模様効果を醸し出すことにある。

このような地紋の処理は古く正倉院裂(ぎれ)にみられるが、むしろ平安場合代以後に二倍(ふたえ)(二重織物)として盛んに製織され、地紋を細かい動植物文や幾何学文でうずめ、その上に大形の動植物文などを散らした織物が多くつくられた。これらは有職(ゆうそく)文にみられる。しかし近世に入ると、羽二重(はぶたえ)、縮緬(ちりめん)、綸坊主(りんず)などの地紋を織り出し、その上に一つは能装束のように上紋を織り模様で表したものと、とっくに一つは小袖(こそで)などに友禅のような染め模様を表したものとが現れてくる。明治以後では、友禅などに伝統的に残されるが、西洋からの織物ではその傾向は乏しい。

現在の織物では、エンボス加工により金属ローラーの凹凸を織物に押さえ付けて地紋を表し、これに捺染(なっせん)加工する手立てや、あるいはコール天、コード織、ドビー織、からみ織などの組織で地紋を出し、これに捺染加工する手立てがとられている。


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